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札幌地方裁判所 平成10年(ワ)3204号 判決 1999年12月24日

原告

甲野太郎

右訴訟代理人弁護士

八幡敬一

被告

株式会社○○○

右代表者代表取締役

乙山春子

被告

乙山夏子

右両名訴訟代理人弁護士

太田勝久

尾崎祐一

主文

一  被告らは、原告に対し、連帯して一三万七八五〇円及びこれに対する平成一〇年一二月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを八分し、その七を原告の負担とし、その余は被告らの負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

第一  請求

被告らは、原告に対し、各自一一一万七八五〇円及びこれに対する平成一〇年一二月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、原告が、賃借していたマンションの管理会社である被告株式会社○○○(以下「被告会社」という。)及びその取締役等である被告乙山夏子(以下「被告乙山」という。)に対し、被告会社は、その従業員をして原告方居室内に不法に侵入させ、同室のガス及び水道を使用できなくさせた上、同室の錠を取り替えて原告が同室に立ち入ることができないようにさせた、被告乙山は、被告会社の取締役等として、被告会社の従業員に右行為をするよう教唆したとして、それぞれ不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  原告は、平成一〇年七月一五日から、札幌市厚別区厚別中央四条<番地略>所在のプチマンション×××一〇八号室(以下「本件居室」という。)を賃借して妻とともに居住し、同所において清掃業を営んでいた者である。なお、本件居室の賃貸借契約書には、「賃借人が賃借料の支払を七日以上怠ったときは、賃貸人は、直ちに賃貸物件の施錠をすることができる。また、その後七日以上経過したときは、賃貸物件内にある動産を賃借人の費用負担において賃貸人が自由に処分しても、賃借人は、異議の申立てをしないものとする」旨の特約条項(以下「本件特約」という。)が存在する。

2  被告会社は、不動産仲介及び管理を業とする会社であり、原告が本件居室を賃借するに際しての仲介業者であり、かつ、本件居室のあるマンションを管理する業者である。

3  被告乙山は、被告会社の取締役であり、被告会社の親会社である株式会社□□□の代表取締役である。

4  原告は、被告会社に対し、「本件居室において雨漏りがする、かびが発生した」などの苦情を述べていたところ、被告会社は、平成一〇年一〇月ころ、原告に対し、かびによる被害の弁償には応じられない旨回答した。

5  そこで、原告は、同年一〇月分からの賃料の支払を停止することとしたところ、被告会社は、同月九日付け及び同年一一月一一日付けで、原告に対し、「督促及びドアロック予告通知書」と題する文書を交付して未払賃料の支払いを求めた。右各文書には、被告会社の指定する日時までに未払賃料を支払わないときは、本件居室の扉をロックする旨の記載がされていた。

6  原告は、右各督促に応じず、その後も賃料の支払を留保していたところ、被告会社は、同月三〇日付けで、原告に対し、「最終催告書」と題する文書を交付して未払賃料の支払を求めた。右文書には、同年一二月四日午後三時までに連絡がない場合には、以後、何ら勧告することなくドアロックし、本件居室への立入りを禁止する旨の記載がされていた。

7  原告は、右督促に対してもこれに応じず、同年一二月四日、被告会社に連絡することなく妻とともに外出したところ、右外出の間、被告会社の従業員丙川二郎(以下「丙川」という。)は、被告会社の業務として、かつ、被告乙山の指示を受けて、本件特約に基づき、本件居室に立ち入って、居室内の水を抜き、ガスストーブのスイッチを切り、浴室の照明器具のカバーを外すなどした上、本件居室の錠を取り替えた(以下「本件行為」という。)。

8  これに対して、原告から委任を受けた八幡敬一弁護士(以下「八幡弁護士」という。)は、同日、被告会社に電話をかけ、直ちに鍵を開けるよう要求したところ、丙川は、原告が未払賃料を支払ってくれれば鍵を開ける旨回答した。結局、原告は、本件居室に立ち入るため、錠を取り替えることを余儀なくされた。

9  被告乙山は、同月七日、八幡弁護士に電話をかけ、原告が未払賃料を支払わなければ再度錠を取り替える旨述べた。

10  被告らは、本訴においても、本件行為の正当性を強く主張している。

二  主たる争点

1  本件行為の適法性

(一)  被告らの主張

(1) 本件特約について

ア 本件特約の必要性

被告会社の管理する賃貸物件については、昭和五六、五七年ころから賃借人のモラルが悪くなり始め、賃料の支払が遅れる場合に電話もしない者が増え始めた。最近では期限どおりに賃料を支払う者が少なくなり、賃料を延滞している者の中には、夜逃げの形で居室から退去する者、連絡も支払もしないまま自殺したりする者、火災を起こしたりする者、仏壇、骨壺等を残置したり火器を使用したまま所在不明になる者もある。以上からすれば、被告会社においては、一定の期間賃料が支払われない場合には、賃借人からの連絡を促すために施錠したり、不測の事態を回避するために居室内に立ち入ったりすることが絶対に必要となる。仮執行宣言付支払督促による強制執行によっては、右事態に迅速に対応できない。したがって、本件特約は、賃貸マンションの居室に関する賃貸借契約においては、絶対不可欠である。なお、他の同業者においても、賃貸借契約書に本件特約と同様の特約を設けているところである。

イ 本件特約の運用状況

被告会社は、賃料の支払が七日遅れたからといって、機械的に本件特約に基づく措置をとっているわけではない。被告会社において本件特約に基づく措置をとるのは、賃借人が、根拠のない主張をして賃料の支払を拒絶し、再三にわたる催告にも応じなかったり、被告会社に連絡せずに退去したりした場合に限られている。また、実際に施錠する前には、文書で賃料の支払を数回催告し、賃借人側において支払が遅滞している理由を説明するなど誠意ある対応を見せれば、支払を猶予するなどし、実際に施錠しているわけではない。なお、錠の取り替えについて被告会社に苦情が寄せられたことはない。

ウ 本件における具体的状況

被告会社は、原告に対し、再三にわたって文書又は電話により連絡を試みるなどしたにもかかわらず、原告からは何の連絡もなかったので、前記アの事情を慮って、やむを得ず、丙川をして本件行為をさせた。

エ 原告による本件特約の認容

原告は、本件特約の存在を認識した上、賃貸借契約を締結した。

オ 以上からすれば、本件特約が公序良俗に違反するものとして無効であるということはできず、これに基づく本件行為は、適法である。

(2) 被告会社の管理責任について

原告は、被告会社から賃料を支払うよう再三にわたって催告を受けたにもかかわらず、賃料を支払おうとせず、連絡もしなかったので、被告会社は、原告が不在がちで、やがて夜逃げにつながるものと考えたところ、仮に原告が本件居室から退去しているならば、水道管が破裂するおそれもあったので、被告会社において原告が本件居室に居住しているか否かについて確認する必要が生じた。そこで、被告会社は、自己の管理責任を果たすため、丙川をして本件居室に立ち入らせ、同人は、火災の危険を防止するためにストーブのスイッチを切り、凍結防止のために水抜きをしたものである。

(3) 信義則違反

原告は、本件居室においてかびが発生し、それについて被告会社に責任がある旨主張して賃料の支払を拒否していたところ、原告の右主張は到底信用することができず、原告の右主張は、賃料の支払を拒むためにことさら作出したものであるといえるから、原告が本件特約の無効を主張することは、信義則に反し、許されない。

(4) 以上からすると、本件行為は違法性を欠くものであり、被告らが不法行為に基づく損害賠償責任を負うことはない。

(二)  原告の主張

(1) 原告と賃貸人との間の本件特約についての合意の事実は否認する。

(2) 他の同業者において賃貸借契約書に本件特約と同様の特約を設けていることは、本件行為が違法でないことの理由にはならない。

(3) 被告会社によって機械的に錠を取り替えられた者もある。

(4) 本件は、かび等についてのトラブルがあったため賃料の不払が生じた事案であり、被告会社がやむを得ず丙川をして本件行為をさせたという事案ではない。

(5) 被告らが丙川をして本件行為をさせたのは、法的手続によらずに原告に賃料を払わせるためであるところ、本件特約に基づく措置が仮に単純に賃料を支払わない賃借人に対してとられる場合であっても、法的手続によらずに居室の占有を排除したりこれを妨害したりすることは、被告会社に自力救済を認めるものであり、社会的にみてあまりに妥当性を欠くものである。

(6) 賃料不払を理由として錠を取り替えられたとの苦情は、消費者センターにも多数寄せられており、弱い立場にある賃借人保護の見地から、本件行為のような行為が行われないようにする必要がある。

(7) 本件の交渉経緯に照らすと、原告が本件居室に居住していたことは明らかであり、また、水道管が破裂するなどのおそれもなかったのであるから、被告会社が管理責任を果たさなければならない状況にはなかった。

(8) 以上からすると、本件行為は、原告の平穏に生活する権利を違法に侵害したものであり、被告らは、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない。

2  原告の損害

(一)  原告の主張

(1) 慰謝料

ア 原告は、被告会社の従業員に本件居室に不法に侵入され、本件居室の使用を妨害され、特に寒さが厳しい日に水道及び暖房の使用を妨害されたところ、本件行為は、被告らの故意に基づくものであり、原告は、これにより、多大の精神的苦痛を受けた。

イ 更に、前記一の8ないし10のとおりの被告らの対応及び被告乙山が平成一〇年一二月一三日に本件居室を訪れ警察沙汰を起こしていることからすると、被告らに本件行為が違法であるとの認識はなく、本件行為について何らの反省もない。

ウ 被告らは、本件行為のような行為を恒常的に行っているところ、懲罰的観点から慰謝料を算定することも必要である。

エ 以上からすると、慰謝料の額は、一〇〇万円が相当である。

(2) 錠の取り替え費用

原告は、本件行為により、やむなく鍵屋に対して錠を取り替える費用を支払わなければならなくなった。右費用は、一万七八五〇円である。

(3) 弁護士費用

原告は、本訴の提起及び追行を原告代理人に委任した。その費用は、一〇万円が相当である。

(二)  被告らの主張

(1) 慰謝料については争い、鍵の取り替え費用については不知、弁護士費用については、原告が本訴の提起及び追行を原告代理人に委任した事実を認め、その余は争う。

(2) 本件行為により、水道及びガスが使えなくなったわけではない。原告が被告会社に連絡すれば、直ちに使用することが可能であった。

(3) 被告乙山は、自らかびの発生の事実を確認するべく、平成一〇年一二月一三日、本件居室を訪れ、原告と話合いを試みたところ、警察官が同所に現れたに過ぎない。

3  なお、原告は、原告が賃料の支払を停止したことに合理的な理由があったか否かについては、強いて争点としない旨述べるので、敢えて本件の争点としないこととする。

第三 判断

一  争点1(本件行為の適法性)について

1  本件特約の有効性について

(一)  本件特約の文言(「賃借料の支払を七日以上怠ったときは」)及び証拠(証人丁原、被告乙山本人)によれば、本件特約は、賃料の支払を怠った賃借人に対してその履行を強制することを目的としたものと認められる。そして、本件特約に基づいて行われる措置(本件居室への立入り及び錠の取り替え)が賃借人の平穏に生活する権利を侵害することを内容とするものであることは明らかである。もっとも、未払賃料の支払を催告するなどの行為も、賃借人の生活の平穏を一定程度脅かす面があることは否定できないが、本件特約に基づく措置は、催告のように金銭債権の行使方法として社会通念上通常のものであると認められる範囲を大きく超えているものといわざるを得ない(だからこそ、被告会社側は、敢えて特約という形式で本件特約条項を設けたのであると思われる。なお、被告らも、本件行為が本件特約に基づいて行われたということを本件行為の違法性を阻却する事情と捉えて主張を構成している。)

(二)  そうだとすると、本件特約は、賃貸人側が自己の権利(賃料債権)を実現するため、法的手続によらずに、通常の権利行使の範囲を超えて、賃借人の平穏に生活する権利を侵害することを内容とするものということができるところ、このような手段による権利の実現は、近代国家にあっては、法的手続によったのでは権利の実現が不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合を除くほか、原則として許されないものというほかなく、本件特約は、そのような特別の事情がない場合に適用される限りにおいて、公序良俗に反し、無効であるといわざるを得ない。そして、本件特約の必要性及びその運用状況が仮に被告らの主張するとおりであったとしても、また、仮に被告ら主張のとおり原告がことさら賃料不払の理由を作出するような者であったとしても、法は、そのような場合でさえ、あるいは、そのような場合にこそ、通常の権利行使の範囲を超えて債務者の権利を侵害するような方法による権利の実現については、原則として法的な手続を経るよう要求しているのであって、被告らが主張するような右事情は、右結論を何ら左右するものではない。更に、被告ら主張のとおり原告が本件特約の存在を認識した上で賃貸借契約を締結したとの事実が仮に認められるとしても、右のとおりの本件特約の内容に照らせば、やはり、右結論に何ら影響を及ぼすことはないというべきである。

(三) そこで、本件において右(二)にいう特別の事情があったか否かについて検討するのに、前記第二の一の5ないし7のとおり、原告は、被告会社から賃料を支払うよう再三にわたって催告されていたにもかかわらず、これにまったく応じなかったということができるところ、証人丁原は、「被告会社は、原告に対し、平成一〇年一一月下旬ころまで、賃料の支払を文書及び電話によって再三催告していたところ、電話をかけた場合の多くは留守番電話になっていたとの報告を受けた。自分が電話をかけた時は、留守番電話のこともあったし、実際に話ができたこともあった」旨証言しており、右証言からすると、被告会社が原告とまったく連絡を取ることができない状態にあったとまでは認めることができず、右のように、被告会社の再三にわたる催告にまったく応じない原告方の電話が留守番電話になっていることが多かったというだけでは、本件行為の当時、右(二)にいう特別の事情があったということは到底できない。その他、右特別の事情があったことを認めるに足りる証拠はない。

(四)  右によれば、本件特約は、本件において適用する限りは無効というほかなく、したがって、仮に原告が賃貸人との間で本件特約についての合意をしたとの事実が認められるとしても、本件行為が本件特約に基づいて行われたことを理由として違法性を欠くとの被告らの主張は、失当である。

2  被告会社の管理責任について

(一) 被告会社が本件居室のあるマンションを管理する業者であることは、前記第二の一2のとおりであるところ、水道管の破裂等の危険な事象が生じ得る現実のおそれがある場合に、管理業者が、右危険の回避のため、必要かつ相当な範囲で措置を構ずることは、一般に許容されるというべきである。

(二)  そこで、本件についてこれをみるのに、

(1) 証拠(甲一八、証人丁原、原告本人、被告乙山本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件行為の当時も、本件居室に居住していた事実を認めることができ、原告が本件居室に居住していないことによる水道管の破裂等の現実のおそれは、客観的には存在しなかったということができる。

(2) また、原告と被告会社との間において、かびの発生等を巡るトラブルが生じ、そのために、原告が平成一〇年一〇月分からの賃料の支払を停止していたこと、その後、被告会社が原告に対し同月九日付け及び同年一一月一一日付けの各文書で本件居室の扉をロックする旨の警告をして賃料の支払を催告したにもかかわらず、原告がこれらに応じなかったこと、被告会社が原告に対し同月三〇日付けの文書で同年一二月四日午後三時までに連絡がない場合にはドアをロックする旨の警告をして賃料の支払を催告したにもかかわらず、原告が被告会社に連絡をせずに同日外出したことは、前記第二の一の4ないし7のとおりであり、被告会社からみると、原告は、被告会社の催告に簡単には応じない状況にあったといえるが、前記1(三)のとおり、本件行為の当時、被告会社が原告とまったく連絡を取ることができない状態にあったとまでは認められないことに加え、右のとおりの本件紛争の経緯によれば被告会社が原告による賃料の支払拒絶の理由を知っていたということができることや、被告会社において原告の動静等について近隣の者から聴取りを行うなどの調査をしていたような形跡も認められないことなどにも照らすと、本件行為の当時、被告会社において原告がやがて夜逃げをするであろうと考えるような事情は認められないといわざるを得ない(証人丁原は、原告において夜逃げ、火災、自殺等のおそれがあった旨証言するが、右の事情に照らせば、採用することはできない。なお、被告乙山は、裁判所の質問に対し、原告において夜逃げや自殺を窺わせる事情はなかった旨供述している。)。その他、右事情を認めるに足りる証拠はない。

(3)  そうだとすると、本件行為の当時、本件居室について、水道管の破裂等の危険な事象が生じ得る現実のおそれは、客観的に存在しなかったし、被告会社においてそのようなおそれがあると考えるような事情も存在しなかったということができるから、本件行為は、被告会社の管理責任を果たすために必要な行為であったということはできないといわざるを得ない。したがって、本件行為の相当性について判断するまでもなく、これが被告会社の管理責任を果たすためのものとして違法性を欠くということはできない。

3  以上によれば、本件行為は、原告の平穏に生活する権利を侵害するものであって、これについて、特に違法性を欠くべき事情も認めることができないから、結局、被告らは、本件行為によって原告に生じた損害を賠償する責任があるというべきである。

二  争点2(原告の損害)について

1  慰謝料について

本件行為の内容に照らせば、原告が本件行為により精神的苦痛を受けたことは明らかというべきであるところ、前記第二の一のとおりの事情、特に、本件行為の内容・態様、これが行われた状況等を考慮すると、慰謝料の額は、一〇万円をもって相当とすべきである。

なお、原告は、被告らが本件行為のような行為を恒常的に行っていたとして、懲罰的観点から慰謝料の算定を行うこともすべきである旨主張するが、慰謝料は、現実に被った精神的損害の填補であるとみるべきであり、これに懲罰的ないし制裁的要素を含めることは相当ではないから、原告の右主張は、採用することができない。

2  錠の取り替え費用

本件行為により原告が本件居室の錠を取り替えることを余儀なくされたことは、前記第二の一8のとおりであるところ、証拠(甲八、原告本人)によれば、原告は、本件居室の錠の取り替え費用として、一万七八五〇円を支払ったことが認められる。

3  弁護士費用

原告が本訴の提起及び追行を原告代理人に委任した事実は、当事者間に争いがないところ、本件事案の難易、前記第二の一のとおりの本件紛争の経緯、認容額等に照らすと、本件行為と相当因果関係のある弁護士費用としては、二万円が相当であるというべきである。

第四 結論

右によれば、原告の請求は、主文の限度において理由があるから、その限度で認容し、その余はいずれも棄却する。

(裁判官・浅井憲)

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